- 看護師の退職金の相場っていくら?
- 自分はいくらもらえるだろう?
- 3年働いたら辞めようと思うんだけど、退職金はあるの?
と、退職するかに関わらず、退職金の額は気になりますね。
退職金は職場によって、計算方法や金額が異なります。
私は看護師15年目で直接、事務局に自分の退職金を確認しました。退職金の額を知ると、今後の人生設計をたてやすくなりました。
そこで、本記事では退職金の相場を年代別・職場別で紹介します。
退職金の税金や退職金の額を知る方法まで紹介しているので、ぜひ最後まで読んでください。
退職金は勤続3年から支給されるケースが多いです。
民間より、国立や公立病院の方が退職額を多くもらえ、長く働くと増額されます。ただし、退職金にも税金がかかるので、どのように税金がかかるのかを知っておきましょう。
看護師の退職金の相場【年代別】
勤続年数 | 退職金の相場 |
---|---|
勤続3年 | 約30万円 |
勤続5年以上 | 約50〜100万円 |
勤続10年以上 | 約250~300万円 |
勤続20年以上 | 約450~600万円 |
上記の表より、退職金は勤続年数によって大きく金額が異なります。勤続年数が長いと、職場への貢献度が評価されるので、退職金も増えます。
勤続3年
多くの職場は勤続3年より退職金支給の対象となり30万円程度が相場です。しかし、仕事を一通り一人でできるようになった時期のため、職場への貢献度は高いといえません。
そのため、退職金は多くはありません。
勤続5年以上
勤続5年以上の退職金は50~100万円ぐらいが相場です。
5年目以上となればはプリセプターとして後輩を育成し、委員会として役割を発揮する年代です。ここまでくれば、職場への貢献が大きくなるため、退職金の額が増えます。
まとまった額の退職金が必要な場合は、最低でも5年以上働く方がいいでしょう。
勤続10年以上
10年以上となると、部署での主力となり、リーダーシップを発揮する立場となります。
貢献度は高いと評価されることで退職金が増え、250~300万円ぐらいが相場。
結婚や転職、進学などで、今後のライフプランが変化するかもしれません。当面の生活費や進学費用に使えます。
勤続20年以上
20年以上辞めずに働くと職場への貢献度がかなり大きくなり、450〜600万円ぐらいが相場となります。
30年以上となると、800~900万円ぐらいが相場。
定年間近の場合もあるので、一旦区切りとして退職する人が多いです。退職後は、給料が下がっても体に負担の少ない職場へ転職するケースもあります。
ただし、子どもの教育費や老後資金の準備でお金が必要となれば、定年まで勤続するとより多くの退職金を受け取れます。
看護師の退職金の相場【職場別】
退職金の計算方法は国立病院・公立病院・私立病院で異なります。
各職場で定年まで勤めた退職金の相場は、以下の通りです。
- 国立病院
- 1,800〜2,000万
- 公立病院
- 都道府県立:平均1,400万円、政令指定都市:平均1,900万円、市町村立:平均1,800万
- 私立病院
- 1000万以下〜2000万 赤字経営であれば変動あり
- クリニックなど小規模病院
- 退職金制度がない場合もある
参考URL:マイナビ看護師:看護師の退職金はいつ・いくらもらえる? 勤続年数や職場ごとの金額を紹介
国立病院と公立病院、大規模な私立病院で定年まで長期間勤務すると、高額な退職金を受け取れます。
しかし、クリニックなど小規模な職場であれば、退職金制度がない場合があります。大規模な私立病院でも、赤字経営であれば退職金は大きく減額されることも。
退職金制度の支払いは義務ではないため、退職金の有無は職場(事業主)の判断に左右されます。
その点、国立病院や公立病院は安定しています。
退職金の支払い方法は3種類ある
退職金の支払い方法は、退職金制度によって異なります。「退職一時金制度」、「企業年金制度」、「前払い制度」の3つがあります。
- 退職金一時期制度
- ・一般的な支払い方法
・退職時に退職金が一括に支給され、勤続年数や退職時の役職などで決められる
・自己都合退職や会社都合退職で退職金額が異なる
- 企業年金制度
- ・規定の年齢に達した後に、年金として退職金が支給される
・生涯支払われる場合と、規定の年齢までの支給と期間はさまざま
・退職金の一部を一時金として退職時に受け取り、残りは年金として支払われるという方法もある
- 前払い制度
- ・退職金は支払われない分、給料やボーナスに上乗せする形で支払われる
・毎月の給料は増えるが、税金や社会保険料の負担が増える
退職金の計算方法
退職金の計算方法は職場によって異なります。公務員であれば法律で定められていますが、私立病院では病院によって計算方法が異なります。
職場の就業規則で確認しましょう。
公務員看護師
公務員看護師は「国家公務員」と「地方公務員」の2種類があり、それぞれ算出方法が異なります。
- 国家公務員
- 国家公務員は「国家公務員法」によって退職金を算出しています。
退職手当額 = 退職日の俸給月給(基本給) × 退職理由別・勤続年数別支給率
参考URL:人事院 1退職手当制度の概要
- 地方公務員
- 地方公務員は「地方公務員法」によって退職金を算出しています。
退職手当額 = 基本額 + 調整額
基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
調整額 = 調整月額のうち、その額が多いものから60月分の額を合計した数
参考URL:総務省 地方公務員の退職手当制度について
退職理由別・勤続年数別支給率は「地方公務員の退職手当制度について」に記載しています。
私立病院看護師
私立病院の退職金は、様々な計算方法で算出しています。
以下の4つの計算方法があります。
- 基本給ベース
- 退職金 = 基本給 × 勤続年数
基本給30万であれば、勤続年数20年で600万の退職金
- 勤続年数ベース
- 勤続年数5年以上で〇〇万、10年以上で△△万という風に勤続年数によって退職金を決める方法
- 固定金ベース
- 退職金 = 固定金 × 勤続年数
固定金が10万であれば、勤続年数20年で200万の退職金
- 功績倍率ベース
- 退職金 = 基本給 × 勤続年数 × 功績倍率
職場の貢献度により功績倍率が変わる。職場の評価に大きく左右される
基本給30万、勤続年数20年、功績倍率1.5であれば900万の退職金
基本給30万、勤続年数20年、功績倍率0.7であれば420万の退職金
以上にように、色んな計算方法があるので、まずは就業規則を確認しましょう。
退職金にも税金がかかる
退職金にも税金はかかります。しかし「退職所得控除額」の範囲内であれば税金はかかりません。
退職金所得控除額は、勤続年数によって異なります。
- 勤続20年以下
- 40万円×勤続年数 (80万円に満たない場合には、80万円)
- 勤続20年超
- 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
退職金から「退職金所得控除額」を引いて、半分にした額が退職所得として課税されます。
参考URL:国税庁 退職金を受け取ったとき(退職所得)
例)勤続年数15年で500万の退職金
退職金所得控除額:40万円×15=600万
退職金より「退職金所得控除額」の方が金額が大きいため税金はかからない。
勤続年数38年で2500万の退職金
退職金所得控除額800万+70万×(38ー20)=2060万
→→(2500万ー2060万)×1/2=220万
220万に課税される。
退職金を多くもらう方法
退職金を多くもらう方法は、「賃金体制が整った同じ組織で長く働く」です。さらに、自己都合退職ではなく、定年退職すると退職金が増えます。
看護師長や看護部長の役職がつくと基本給が上がるので、更に退職金が増えます。
しかし「認定看護師」「専門看護師」のような資格を取得しても、基本給が増えないと退職金は増えません。
「助産師」「保健師」であれば基本給が増える場合が多く、退職金に反映されます。
基本給をベースに退職金を算出する職場が多いので、基本給を増やすことが鍵になります。
休職した場合はどうなる?
休職期間中は勤務をしていないので、休職期間分の退職金が減る可能性が高いです。
公務員であれば、休職期間の1/2を休職期間として引いて計算する場合があります。
退職金がいくらか知る方法
退職金の計算式は難しく、自分では大体の額しか把握できません。より正確に退職金を知りたい場合は、以下の方法があります。
- 退職した友人に聞く
- 就業規則を確認する
- 就業規則で分からない場合、事務局に相談する
私は事務局に直接相談しました。
事務局に退職金の相談をすると、看護師長に退職するかもって思われそう。
事務局は職員の個人的な情報を守らなければいけないので、退職金を確認した事実を周囲に言えません。どうしても心配な場合は、「辞める予定はないけど、退職金の額を知りたい。」と伝えましょう。
私の場合は、電話で問い合わせると誰が聞いているか分からないので、夜勤前に人事部に立ち寄り直接相談しました。
後日、連絡が来て、退職金額が書いた用紙を直接手渡されました。
まとめ:退職金を確認してベストなタイミングで退職
- 10年以上勤務すると退職金が増える
- 賃金体制が整った病院で長く勤務すると退職金は増える
- 退職金制度は義務ではないので、退職金がない場合もあるので注意
- 退職金を知りたい場合は、事務局に確認が一番確実
3年未満で退職すると、退職金はあまり期待しない方がいいでしょう。できるなら、5年以上は働くと退職金に反映されます。
しかし同じ職場で定年まで勤めるのは、ライフステージによって難しい場合があります。さらに、自分に合わない職場であれば、尚更です。
退職後は転職したり看護師以外のことにチャレンジしたりと、色んな転機があります。
少しの間、仕事を休んでゆっくりしたい場合もあります。
退職金は正確に把握すると、退職後の人生設計を行いやすいです。
看護師の退職の流れはこちらを参照して下さい
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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